MySQLをオラクル社から救う最後のチャンスは、オラクル社がMySQLを救済するために有効な措置をとらない場合は、独占禁止法取締機関規制機関がこの取引を中止させるということです。

コミュニティー内の多くの人は、独占禁止法、そして合併規制についてあまり知らないかもしれません。逆に独占禁止機関は、一般に FOSS(Free and Open Source Software)にについてはあまり知りません。オラクル社は、この両方の状況を自分の都合の良いように利用しようと試みてきました。今こそは真実を知らせる時です。

オラクル社によるサン社買収という大掛かりな行動は、その企業が本社・本拠地をおく国ばかりでなく、かなりの規模で事業を行っている他のすべての市場でも規制機関の同意を必要とします。もちろん、そのような案件に関して規制機関が動いたためしがないような小国や、市場の規模が小さく、問題となる企業に対して規制機関が拒否権を発動してその買収を阻止するくらいなら、やむを得ない場合にはその国から撤退してしまった方が良いという国もあります。

けれどもオラクル社にとって重要な本当に大きな市場を持った国のなかには、競争の保護にやかましい国もあります。欧州連合は域内総生産と人口においてはアメリカ合衆国よりも優先順位が上です。中国は、将来的には世界最大の経済大国になるだろうというのが専門家たちの一致した見解です。ロシアは天然資源とよく教育された人口を擁する大国であり強国です。これだけでも既に3つの事例が出てきました。

そのような大規模な市場を擁する国の規制機関がオラクル社の買収取引を拒否した場合、オラクル社は最終的にはサン社を放棄しなければなりません。我々は、サン社がオラクル社に将来をゆだねるのを阻止しようというのではありません。けれども規制機関がノーと言いかねないという事実は、オラクル社のエリソン社長に「MySQLをあきらめなければ、サン社を手にすることはできない」とシグナルを送る権力手段があるということです。

法的な観点では、規制機関はそうは表現しないかもしれませんが。ここには、誤解が広がっているか、極端な単純化が行われています。規制機関は、合併を企画している企業はどのような措置を講じなければいけない、と命令することはできませんが、企業が認可を求めて提出したものを検討し、それが市場に悪い影響を与える場合にはそれを拒否することができます。これは申請当事者(この場合オラクル社)が受け入れられる提案をするかどうかとは関係がありません。オラクル社が、許された時間内にそのような提案を提出した場合、規制機関にできるのは、買収取引全体に対してイエスかノーを告げることだけです。ですからボールはいつも、許可を得たいと考える企業の側にあります。規制機関は「これをしなさい、あれをしなさい」とは言わずに、「許可を得るにはこれでは不十分である。したがって他の受け入れられるものをもう一度提案するように」と言うだけです。

規制機関の中には、当然のことながら、MySQLを買収しようとのオラクル社の計画に懸念を抱く人が若干数存在します。欧州委員会は2009年11月9日、オラクル社にいわゆる異議告知書の通知を行いました(英語でStatement of Objections)。ニュース配信社Bloombergによれば、この中間判決は155ページから成っており、オラクル社がMySQLの支配に成功した場合に、なぜその顧客がイノベーションの停滞と費用の上昇によって割を食うのかが詳細に説明されています。2009年10月末、オラクル社は、ニュース配信社Dow Jonesが報じたように、ロシアでの認可申請を撤回せざるを得ないと考えたようです。

オラクル社は、オラクル社の見解では主としてMySQLはウェブ用でローエンドの使用に向いたデータベースであり、したがってオラクル社の主力製品とは競合しないのだから、サン社との合併を拒む競争法上の根拠がないと主張しています。けれどもこれは真実ではありません。確かにオラクル社はMySQLが持っていない特徴をいくつか提示できます。別のページで説明してありますように、これは本質的な部分での競合がないということではありません。欧州委員会競争政策担当委員は、競合に関して、EU(欧州委員会)は証拠を提示してMySQLはローエンドでウェブ用に限った製品ではなく、「複雑な業務用データベース」としても使用できると発言していました。

オラクル社は、MySQLの市場でのシェアは大きくないということも指摘しています。この主張はその売上高のみを根拠としていますが、実際には多数のMySQLが使用されており(世界で最も普及したデータベースであり、インストール数は2千万にも上るでしょう)、そして多用途に無償で投入できる可能性を秘めており、だれもが様々なライセンスもしくは追加製品を購入すればもっと得になるのですから、そのオープンソース モデルによりオラクル社の大きな脅威となっています。上述のEU委員は、公的な談話で、MySQLはその売上から考えられる以上に市場では重要な製品であると発表しました。この英語で投稿されたブログ記事は、今日のデジタル市場においてある製品ないしあるサービスがなぜ、金銭が絡まないのにもかかわらず(目下のTwitterのように)非常に重要であり、あるいは価格破壊的な価格設定をしても、その売上以上に重要な意義が出てくる(Skypeのことが思い浮かびます)のかを説明しています。

その価格構造の他、MySQLでは、挿入可能な保存エンジン(pluggable storage engines)を可能にするその柔軟な構築のことも考慮に値します。

オラクル社は、MySQLが競合製品として重要度が低いことを証明する論拠が十分ではないということをうすうす感知していたようです。オラクル社が、若干の問題はMySQLがGPLのもとで使用できれば自ずと解消されますよね、と言っているのはそのせいです。この誤った推論は、このページで詳しく検討しています。また、この英語のブログ記事でもそれに関して読むことができます。

ここで展開されている論戦は、この合併に関する主要市場ごとの判断が出揃うまで続くことでしょう。公式の判断がすべて出揃うまで合併は行われません。規制機関は、この計画に関して公にすべての可能性を提示することができます。けれども実際の判断を決定した場合にはそれが発表され、決定していない場合には私どもはコミュニティーとして結束し、MySQLの将来のために戦うつもりです。

EUでは、オラクル社が期限内に公式な解決法を提案するだけに、状況は非常に興味深くなっています。この期限は12月14日の深夜までです。オラクル社は、そのプレスリリースの中でいくつかの曖昧な約束を行っています。けれどもこれらは、公式な提案(これに関しては、特別な文書、いわゆる「公式RM」が欧州委員会に提出される必要があります)でも解決方法(たとえこの約束が公式なものだとしても、これはMySQL関連の技術革新の終焉を意味し、若干の当事者にとってその痛みが少しは耐えられるものになっているというに過ぎません)でもありません。

オラクル社は終始、まともなことは何も提案せず、それなしで重要な法的期限が過ぎるのを待っています。このような態度をとったために、欧州委員会とその他の規制機関は、サン社全体を買収するのを阻止するための法的および倫理的な根拠を獲得することとなりました。もちろん、オラクル社がサン社の残余部分を購入することができるような解決法があり、EUおよびその他の規制機関が、手続きを中断してオラクル社との真の解決策が作成されるための道を見い出すということが望ましいのは当然のことでしょう。けれどもすべての頼みの綱が断たれ、オラクル社が無益な提案ばかりを行うのなら、MySQLの市場における価値は、オラクル社がやむを得ずサン社の買収をあきらめなければならないほど十分に大きいということを認めさせなければなりません。

オラクル社は何百もの大手の顧客を動員して、この交渉を支援し、MySQLが重要であることを疑問視させてきました。さて私どもは、世界中の規制機関(また重要な役割を演じている報道機関)に対して、MySQLがいかに重要であるかを示すために、皆様方の直接の支援、皆様方のご友人のご協力、そのまたご友人のサポートを必要としています。それらがあれば、我々にはまだ勝ち目があります。オラクル社は、圧力をかけようと自らの手段を講じてきました。そして今や、私どももそれに対抗することができるということを示さなければなりません。さあ、署名よって支援の手を!